マンションを売却させるための必要な知識

日常の生活の中で、住まいを買い替える、マンションを売却する、という出来事はそうそう起こることではありません。しかし、結婚や子供の成長、転勤、親との同居など、わたしたちのライフプランの中で一度は身近に経験することではないでしょうか。

ここでは、そんな一大事を失敗に終わらせないための秘訣を、「マンションの売却」に焦点をあて、その事前準備から売却後までを段階に分け、分かりやすく解説していきます。

マンション売却の際の事前準備

マンションの販売活動においては、1つコトが動くたびに、煩雑な対応、正確な判断が求められることが多々起こります。その都度、目の前の出来事を処理しているだけでは、大きなチャンスを逃しかねないことを知っておきましょう。

たとえば、価格を決める際には、自らのマンションの資産価値を知っておくことがとても大切なポイントになります。資産価値を知り、それに相応しい価格で販売活動を展開することで、売却を成功させるチャンスが拡がるのです。

まずは事前準備が、成功へ導く大きなカギとなることを、詳しく説明していきましょう。

まずは準備期間を設ける

マンションを売却するにあたり、まずすることは資産価値を知ること、即ち適正価格を知ることになります。適正価格より高くても低くても売却を成功させる可能性は低くなってしまいます。

適正価格より低ければ、売却できたとしても新居への準備資金に不必要な出費が懸念され、高ければ、売れ残り続ける事態を招いてしまいます。

売却後の計画に支障を出さないためにも、適正価格を正しく知ることが必要となってくるのです。

適正価格を知る

適正価格とは、実際に売れる価格を言います。その価格が適性かどうかは、買う人の判断に委ねられます。つまり、適正と思わせる根拠が必要となるという事です。

それでは、その根拠を示すにはどうすれば良いのでしょうか?

まずは、相場を知る事です。物件を買う人は、複数の選択肢を比較して判断することがほとんどです。その中でも価格は、判断基準の内、比重の高い項目となります。そこで相場感のない価格を提示していては、選択肢から外されてしまう事になってしまいます。

その為に自分の売りたい物件と似た物件が、どれくらいの価格で売り出されているのかを知ることが重要です。

似た物件の条件としては、最寄りの駅、築年数、広さ、間取、日当たり等、が近い事です。当てはまる条件が多ければそれだけ同等の物件であり、参考にするべき物件価格として妥当だと判断できます。

しかし、そんな都合の良い物件がない場合も当然あります。そんな時はどうすれば良いのか?

坪単価や平米単価を参考にしましょう。これは物件価格をその広さで割った金額のことです。例えば、参考にしたい物件の広さが50平米、2500万円で売り出されていた物件の場合、坪単価は50万円となります。売却したい物件の広さが60平米であった場合、坪単価50万円×60平米=3000万円、が相場の参考となります。

参考物件:2500万円、50平米

物件 売り出し価格 坪単価の計算 坪単価
参考物件 2500万円 2500万円÷50平米 50万円

広さのみに焦点を当てた単純な計算方法です。ひとつの目安として捉えましょう。そこに、広さ以外の条件を加味して、適正価格を設定していきます。

たとえばそこに環境という条件を加味するならば、その土地の価値=地価を調べる必要があります。

地価公示価格地価調査価格が、その土地の価値として参考の基準となります。地価公示制度に基づく地価公示価格、地価調査制度に基づく標準価格は、全国で適用され、公開されている価格だからです。

価格 内容 発表
地価公示価格 地価公示制度に基づく地価公示価格。都市及び周辺地域において、国土交通省が標準地の価格として発表する価格。 毎年1月1日発表
地価調査価格 地価調査制度に基づく標準価格。都道府県知事が基準値の価格として発表する価格。 毎年7月1日発表

対象である物件の土地の、近隣にある公示価格または標準価格と比較することで、対象となる土地の価格を推定することができます。これらの価格はインターネットで簡単に調べることができます。国土交通省の標準地・基準地検索システムや、全国地価マップ等で該当の地価を検索することが可能です。

また、実際に取引された不動産の実績を見ることも、適正価格を知る上では大切なポイントです。これらも調べることが可能なことを知っておきましょう。国土交通省の土地総合情報システムレインズと呼ばれる不動産事業に関わっている方専門の情報サイトから情報を取得できます。

そこで、それぞれの物件がいつ、いくらで売却されているかを参考にしましょう。成約価格取引価格、その他坪単価部屋の向きなど物件のステータスを対象物件と比較し、価格設定の目安とします。

これらの事前準備は、適正価格を設定するという作業の、一つの段階に過ぎません。上記のような買主に対する適正価格を把握した上で、売り主である自分たちの住宅ローンの残債新居への準備資金などの必要経費を加味して、販売価格を設定していかなければいけません。

ここで重要なのは、マンションを売却するには、住宅ローンの残債を完済し、抵当権を抹消する必要があるということです。売却価格がローン残債に届かない場合は、現金で不足分を準備しなくてはなりません。そのような事態を避けるためにも「マンションの売却価格 > 住宅ローンの残債額 + 売却にかかる諸費用」は守るべきラインであることを覚えておきましょう。

事前準備の期間は1か月以上を想定する

また、売却に伴う必要書類が煩雑であることも知っておく必要があります。詳細については後々、説明していきますが、その書類だけで10種類程度を揃える必要がでてきます。それも、事前に心構えや準備をしておけば慌てることはありません。

このように、マンション売却にはそれなりの準備期間を設けることが重要であり、スムーズな販売活動、売却を成功させるために必要な大事なファーストステップであることが、お判りいただけたかとおもいます。

売却活動は3か月~6か月を目安に計画を立てる

マンション売却の基本は、まずは売却理由と売却期間を決めてそれに沿った計画を立て、販売活動を行うことです。必要となる期間、つまりは、売却したい時期、を決めることが大事です。

その中でも、一定の区切りの目安とされるのが、3か月~6か月とされています。これは、不動産業者との媒介契約が3か月更新であること、が大きな要因となっています。

売る側としても、3か月経った時点で思わしい反響がない場合は、不動産業者を変更することが可能なのです。

また、それ以上の長期間の売り出しは、売却に不利になることも覚えておきましょう。売れ残っている物件のイメージが定着してしまった場合、「何か理由がある」と勘繰られる、または、実際その「根拠がある」と判断されてしまう可能性がでてきます。

よって、マンションの売却は3か月~6か月を目安に売計画を立てることをおすすめします。

売却までの流れと期間

それでは、売却期間を3か月~6か月、と設定した場合の、おおまかな売却活動の流れを具体的に見ていきましょう。

売却活動の流れ 期間 活動内容
①不動産査定 1~4週間 売却するマンションの査定を依頼する。
②媒介契約 不動産会社と媒介契約を結ぶ。
③販売活動 1~3か月 マンションの売却価格を決め、広告を出し、不動産会社と協力して販売活動をする。
④購入希望者との交渉及び契約 内覧で買付証明書(購入申込書)をもらい、契約に結び付ける。
⑤物件引き渡し 1~2か月 物件の引き渡しと最終的な清算。

①不動産の査定を依頼する

売却活動のはじめは、不動産会社への査定依頼です。期間は1~2週間程度を想定します。

査定依頼するのは、3~4社程度にするのが妥当でしょう。

よくみかける一括査定では、契約欲しさからの根拠のない高額な査定などが行われる事例が、多くみられます。それらを見極めるには、詳細な見積もりや、正確な判断基準が必要となってきます。

6~7社からの一括見積でそれらの判断を下していくには、経験値や労力が必要となります。1~2週間で実行するにはハードルが高く、また、3か月~6か月の長期戦を乗り切るには、不必要な時間や労力の浪費を避けることも大事なことであることを覚えておきましょう。

査定依頼する不動産業者の選び方

規模の大きな全国ネットワークを持つ不動産業者が一概に良いとは言いきれません。地域密着の地元の不動産会社の方が周辺事情を詳しく知っていたり、親身に相談に乗ってくれたりすることも多いからです。

まずは大手の不動産会社を1~2社+地元の不動産業者2社に査定を依頼してみましょう。

地元の不動産業者の選び方

まずは身近な、地元の不動産会社を実際に歩いて回ってその店舗の様子を見てみましょう。不動産会社を判断する材料として、2通りの傾向を紹介します。

まず一つ目は、店舗内が綺麗で活気づいている不動産会社です。売買仲介の営業を頑張っていそうな雰囲気は、実際見てみないと分からないことです。WEB上の売り文句や派手な広告だけでは、正確に判断するのは難しい事です。売買仲介に力を入れている不動産会社は、売物件の情報を持って行くと喜んで対応してくれることも特徴です。

二つ目は、潰れそうで潰れていない長年そこにある不動産会社です。このような不動産会社は、主に賃貸仲介と管理業を行っていることが多く、見た目は綺麗でないだけで経営は安定しています。業歴が長いため、地元の大地主さんからアパートなどの管理を数多く任されていることも特徴です。あまり売買仲介の営業に重きをおいていないため、売買仲介には積極的にコトを運んでくれることは少ないかもしれません。

査定を依頼するなら、一つ目の活気づいている不動産業者が正解です。事前準備期間の段階で、地元のめぼしい不動産業者を見て回っておきましょう。

②不動産会社と媒介契約を結ぶ

査定を依頼した後は、不動産業者と媒介契約を結んで本格的な売却活動期間に入ります。査定~媒介契約までは1~2週間を目安に想定します。

不動産売買を仲介するにあたって、不動産業者と売買契約制度によって契約を交わすことが義務付けられています。依頼者の保護、取引の安全及び流通の円滑化を図るために媒介契約が書面化され、契約が締結されることになります。

媒介契約書に書かれている内容の内、次の6項目をしっかりと確認しておきましょう。⑴媒介契約の種類、(2)指定流通機構への登録について、(3)売主への業務報告について、(4)契約の有効期間、(5)報酬、(6)違約金や費用償還の請求について。

特に、⑴媒介契約の種類、については意識する必要があります。どの契約を結ぶかで、販売活動の是非が問われると言っても過言ではありません。

媒介契約には3種の契約形態があり、それぞれにメリットとデメリットがあることを理解し、慎重に契約に臨む必要があります。

重要な選択ポイントとなるのは、契約できる不動産会社の数、と、自分で買主を見つけることが許されるか(自己発見取引)、です。以下に、詳しく見ていきましょう。

契約形態 ⑴特徴 ⑵契約期間 ⑶自己発見取引 ⑷指定流通機構(レインズ)への登録 ⑸業務報告の義務
一般媒介契約 複数社に依頼可能。依頼した会社を明らかにする明示型と明らかにしない非明示型がある。 当事者間で決定 可能 任意 任意
専任媒介契約 依頼は1社のみ 3か月以内 可能 義務有
専属選任媒介契約 依頼は1社のみ 3か月以内 不可 義務有

一般媒介契約

一般媒介契約の大きな特徴は、複数の会社との同時契約が許されていることです。また、売主自身で友人、知人から購入希望者を発見し、取引すること(自己発見取引)も可能です。売主が買主を探し、買主と直接契約に至った場合でも違約にはなりません。

また、一般媒介契約には、明示型非明示型があります。明示型の場合は、仲介を依頼した不動産会社には、他にどの不動産会社へ仲介を依頼しているかを通知する必要があります。非明示型の場合は、他の不動産会社に重ねて仲介を依頼しているのか、あるいは、どんな会社に依頼しているのかを不動産会社に通知する必要がありません。

指定流通機構(レインズ)への登録の義務はなく、任意で登録も可能です。また契約期間のしばりもありません。ただし、行政の指導は3ヶ月以内とされています。

一般媒介契約では、このように門戸は広く情報公開され、フリーに動けることがメリットとなります。デメリットとしては、不動産会社があまり積極的に活動してくれない可能性も大きくなる、ということです。

専任媒介契約

一般媒介契約とちがい、専任媒介契約では複数の会社との契約はできません。契約できる不動産会社は1社のみです。自己発見取引は可能です。

指定流通機構(レインズ)の登録義務があり、登録期日は媒介契約締結の日から7日以内とされています。この登録により、自社の購入希望顧客との取引を優先して、情報を抱え込んでしまうなどの不適切な行為を防止することができます。

契約有効期間は3か月です。売り主にとって拘束力の強い契約であることから、3か月以内というしばりが設けられています。契約更新の場合も3か月以内となります。

専任媒介契約では、2週間に1回以上の報告義務が課せられています。不動産会社に適切な業務遂行を促し、依頼者が不動産会社の活動状況を定期的に確認する機会を確保してくれます。

このように、専任媒介契約では自社のみに任せられているので、一般媒介契約と比較すると積極的に活動してくれることがメリットとなります。デメリットとしては、契約できるのは1社のみなので依頼した会社や担当者によって結果が左右されてしまうことです。

専属専任媒介契約

専任媒介契約と同じく、契約できるのは1社のみ。違いは、自己発見取引ができないことです。

指定流通機構(レインズ)の登録義務があり、登録期日は媒介契約締結の日から5日以内とされています。専任媒介契約が7日以内、というものよりさらに短い期間での登録が義務付けられています。

契約の有効期間は3か月以内。同じく、契約更新の場合も3か月以内です。

不動産会社への報告義務は、1週間に1回以上と頻繁な報告が義務付けられています。

このように専属選任媒介契約では、完全に窓口が1社になることで、より積極的な活動を期待することができるのがメリットとなります。デメリットとしては、完全に1社のみ任せることになるので、その1社を見極めることができなければ、販売活動が失敗に終わってしまう危険性が高いことです。

媒介契約の選び方

それぞれの媒介契約のメリットとデメリットを理解したうえで、ではどのような媒介契約を選択すれば良いのか?

1つの方法として提案したいのが、まず、一般媒介契約します。そして、契約期間が過ぎたところで成約できなければ、その中から1社を選び、専任媒介契約に切り替えることです。はじめに門戸を広く、情報と手段を大きく得ることができ、そのうえで積極的に販売活動に繋がるので、おすすめです。

専属選任媒介契約と専任媒介契約では、売り主の立場では、さほどメリットの違いを感じることはできません。自己発見取引の可能性がなくなってしまうことも、大きなデメリットです。はじめから専属選任媒介契約をすすめる不動産会社には注意をしましょう。

③販売活動を開始する

媒介契約を選択した後は、いよいよ本格的にマンションの販売活動の開始です。

不動産会社との協力は必須

まずは、価格設定販売期間など不動産業者に要望をしっかり伝えることが重要です。マンションの販売活動は不動産会社との信頼関係と協力があってこそ成功することを覚えておきましょう。

契約した不動産会社がやることは、主に広告活動です。具体的にはレインズの登録来店、既存の購入希望者の紹介、新聞折込チラシへの掲載等です。

売り主はその活動報告を積極的に受信しましょう。そして、活動報告を基に不動産会社と一緒に販売戦略をたてると良いでしょう。たとえば、反響(問い合わせ)が思ったより少ない場合は、広告活動の範囲を広げたり、アピールポイントを見直したりしましょう。

また、売却を近隣住民に知られたくない場合には、不動産会社に相談すれば個別に条件の合う方に紹介してもらうことも可能です。インターネットでの広告も、興味のある人以外の目に触れづらいので活用できるでしょう。

内覧は勝負どころ

売り主の、販売活動での一番の勝負所といえば内覧です。内覧の目的は、購入希望者から買付証明書(購入申込書とも呼ばれ、購入者の希望価格、希望引渡し時期、支払い方法などが記載されている)をもらい、売却に繋げるチャンスを掴むことです。

ここで注意したいのは、買い付け証明書は売買契約ではないということです。契約ではないので、売買を約束されたわけではありません。買い付け証明書は何人でももらってください。そして、早いもの順ではありません。値段交渉や引き渡し日など、条件が良い相手を選びましょう。機会を逃さず、良い条件を見極めることが大事です。

また、内覧の時点では、値引きなどの口約束はしないこと、即断即決は控えることが大事です。売買契約の条件に繋がる口約束は、後々のトラブルを招きかねないので注意しましょう。

内覧はだいたい一発勝負です。大切なのは第一印象となります。購入希望者は最終的に、物件の内覧の印象で物件を購入するかどうかを決めるということを覚えておきましょう。物件の内覧は、ただの物件の確認ではなく、購入希望者に良い印象を与えるための演出だと捉えることが成功の秘訣となります。

そして、質問やアピールポイントもスムーズに回答できるように準備しておきましょう。近所にはどんな人が住んでいるのか、マンションの周りには何があるのかは購入希望者にとってはぜひ知りたい点です。地域の情報や学校の情報などを提供すると良いでしょう。

④購入希望者との交渉及び契約の締結

買い付け証明書をもらった後は、いよいよ購入希望者との交渉です。チャンスを逃さないためにはどうすれば良いのでしょう?

購入希望者との交渉のポイント

売り主は、買い付け証明書で購入希望者が提示した条件を確認後、具体的な交渉に入るかを決めます。その後の交渉は、売り主側の不動産会社と買い主側の不動産会社が行うのが一般的とされます。

交渉の内容となるのは、売買価格、引き渡し日、瑕疵担保責任の期限、手付金の金額等です。売り主、買主のそれぞれの不動産会社が、お互いの条件を調整することになります。

とくに問題となるのは売却価格です。買主からの値下げ交渉は必ずと言っていいほどあることなので、販売価格を設定する段階で、考慮することも覚えておきましょう。価格の条件は、互いに譲れないところです。不動産会社からの市場動向の情報やアドバイスを参考に、自分が納得のいく条件かどうかを慎重に判断し、最終的に決断しましょう。

値下げ交渉を乗り切るコツ

買主側の希望価格が売り主側からみて許容範囲外であった場合、まずは、売り主側の販売価格の根拠をしっかりと提示することです。価格の妥当性を理解して、納得してもらうことが大切です。

そして、次に、買主側がどれくらいの価格までなら購入可能かを聞き出すことです。買い付け証明書に提示された金額はあくまで希望金額です。不動産会社を通して、実際どれくらいの予算が購入可能であるかを確認してもらいましょう。

そして、値下げ交渉には必ず応じないといけないわけではありません。例えば、売り出している物件が人気物件であった場合、購入希望者も複数になり、その中で良い条件を提示する相手と取引すれば良いのです。

値引き交渉には、時には応じないことも、大事な売買契約を成功させるためのコツです。

売買契約締結の手順

価格交渉を終え、条件が固まったところで、売買契約をします。売買契約の締結には、法律上義務付けられた手順を基に行われます。

まず、不動産会社に売買契約書を作成してもらい、契約内容を双方で確認します。同時に、買主側の住宅ローンの事前審査(通常2週間~1カ月程度)や物件の調査なども行います。そして、宅地建物取引士が不動産の重要な事項について「重要事項説明書」という書面を交付し、説明していきます。「不動産売買契約書」を用いて、双方が納得した上で、不動産売買契約書に署名・捺印し、権利や義務を履行することで売買契約締結となります。

そして、売買契約締結後の瑕疵が見つかった場合について、保証期間であれば補償の義務が発生することを覚えておいてください。万が一に備えるためにも、住宅瑕疵責任保険に加入しておくと良いでしょう。

手付金の種類と金額

そして、この売買契約締結時には、買主から売り主に手付金が支払われることになっています。残金は物件引き渡し時に支払われます。

手付金は、契約成立の証のようなもので、支払うことで簡単に契約解除ができないようになります。

手付金の金額に決まりはありませんが、物件価格の1~2割程度が一般的です。一般的な範囲内でも、少ないよりは大きな金額を受け取っておいたほうが解約の抑止力になりうることも、覚えておきましょう。また、手付金には3種類あり、双方の話し合いでどの名目での手付金にするかを決めましょう。

手付金の種類 内容
解約手付 売買契約時には一般的にこの解約手付金が用いられる。手付金を返還、もしくは逆に支払うことで、買主・売主それぞれの理由により契約を解除できる。
違約手付 売買契約後に買主による代金の支払いが行われない等、契約不履行の際に違約金として没収される。違約手付を利用すると、決められた損害賠償金額よりも高い金額であっても違約手付がまるごと没収されるという買主にとって厳しい制約がある。
証約手付 不動産の売買に限らず、一般的な契約や約束事で契約が締結したことを証明するものとして利用される。5万円〜10万円くらいと少額になることが多く、債務不履行などの場合には、別途決められた損害賠償金額を支払う。不動産の売買に用いられることは少ない。

⑤物件の引き渡しと最終的な精算

物件の引き渡しは、売買契約から1~3か月長ければ6か月にもなる場合もあります。引き渡し日は、売買者間で話し合いの上、期日を売買契約書に記しておくのが一般的です。

そして、物件の引き渡し日は、決算の日であり、最終的な清算が成される日でもあります。この決算は通常、銀行の一室を借り切って行われることになります。具体的には、仲介手数料(残金)の支払い、司法書士への報酬支払い、抵当権の抹消登記完了、売り手から買い手へ領収書の発行、売り手のローン返済手続き、税金などの精算、鍵や重要事項説明書などの引き渡し、が、行われます。

準備するべき必要書類

不動産の売買においては必要書類が複数あります。それは、それぞれ必要な段階でそれぞれの入手方法で準備する必要がでてきます。

万が一、書類を紛失していた場合でも、事前に気づくことができれば、代替措置を講じることもできるので必要書類はできる限り早くに準備するようにしましょう。

また、事前に準備することで、売買契約を滞りなくスムーズに行うことができ、売買契約前にも価格等の交渉に有利になる書類もあることを覚えておきましょう。

書類の詳細と必要になるタイミング

それでは次に、具体的にどんな書類が、いつ、どんな理由で、どうやって入手可能かを見ていきましょう。以下に、必要書類をその内容詳細、入手方法を売却活動のタイミングごとに整理してみました。チェックリストとしてもぜひ活用してください。

必要書類のチェックリスト

必要書類 必要となるタイミング 内容詳細 入手方法
住宅ローン償還表 売却活動前 住宅ローンの残債がわかる書類。売却価格を決めるときの目安となる。不動産会社から提示を求められる場合もある。 定期的にローンを組んでいる金融機関から送付される。
購入時のパンフレット等 広告活動に必要。物件購入時にもらっているパンフレット。物件の構造や築年数などの概要、設備の詳細や間取りが記載されているため、これを不動産会社に渡すことで、募集図面がスムーズに作成可能。買主が決まった際に、このパンフレットも一緒に引き渡す必要あり。 購入時に売主から受け取っている。紛失している場合は、施工会社や管理会社などに問合せ再発行(有料)。
印鑑証明書 売買契約締結時 実印に対する印鑑証明署が必要。不動産の所有権移転登記の際の添付書類としてそのまま使用。有効期間は3ヶ月。 市役所で発行。実印と身分証明書が必要です。最近ではコンビニでも取得ができる自治体もある。
住民票 登記上の住所と実際の住所が異なっている場合は、住民票が必要。現住所と登記上の住所が一致している場合は不要。 住民票がある市役所等で取得可能。
固定資産税納税通知書 固定資産税の納税額の確認のために必要となる書類。また、移転登記等に必要な登録免許税の算出の際にも必要となります。最新のものを準備します。固定資産税は1月1日時点の所有者に年間の固定資産税が課税されるため、取得時期に応じて負担額が調整され、売主に一部払い戻されます。 毎年5月頃に税務署から郵送
管理規約・議事録・長期修繕計画書 マンションの売買契約にはこの3つが必ず必要。区分マンションは購入と同時に強制的に管理組合員となるため、あらかじめ買主にこれらの書類を確認してスムーズに引き継ぐ必要がある。 管理規約は購入時に売主や管理会社より交付されている。議事録と長期修繕計画書は、管理会社から郵送されている。いずれも再発行は可能。(管理規約は有料)
固定資産税評価証明書 売買決済時 所有権の移転登記をする際に必要。土地と建物で別々に取得する必要がある。有効期間は3ヶ月。 都税事務所や県税事務所などで取得。
登記関連の書類 決済当日には司法書士に登記を委任するため、委任状(司法書士に対する委任)登記原因証明情報、代理権授与証明書(決済当日に立ち会わない場合)、が必要。 司法書士が作成。事前、もしくは当日に署名し実印で押印する。

上記以外にも、書類とともに必要となるものとして、実印、銀行通帳、銀行印(銀行通帳と対)があります。これらは決済引き渡しの時に使用します。その時になって慌てない様、どこにあるかぐらいは把握しておきましょう。

また、上記以外にも準備していて損はない、売却に有利になる書類がある事を覚えておきましょう。たとえば、耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書などは、そのマンションの安全性を証明するもので、買主に対しても安心感を与えます。これらの報告書に提出義務はありませんが、買主の購買意欲をそそるアイテムとしてできるだけ準備しておきましょう。

売却に必要となる費用と詳細

マンションを売却するには、準備資金が必要となります。売却価格を決めるうえでもそれらを把握しておかなければなりません。とくに、仲介手数料については、必要費用の中で最も高額となるので注意してみておきましょう。

費用の目録 金額 内容詳細
①仲介手数料 売買価格×3% + 6万円 (+消費税) 物件の売買の間に立った不動産業者に支払う費用。成功報酬。
②印紙税 売買価格1万円以上~50億円以上:200円~60万円 不動産売買では、契約書に印紙を貼ることで税を納めます。税額は、売買価格ごとに定められている。平成26年~30年3月31日の間、軽減税率が適用される
③譲渡所得税 短期譲渡所得の税金(5年以下の売却):譲渡所得×39%(所得税30%+住民税9%)

長期譲渡所得の税金(5年を超える売却):譲渡所得×20%(※所得税15%+住民税5%)

マンション購入時より高く売却できた時の利益に対する税金:譲渡所得=譲渡対価ー(取得費+譲渡費用)

平成25年から平成49年まで:所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が追加で課税

居住用財産を譲渡した場合:3,000万円の特別控除の特例

自己居住のマンションを保有の際の控除:譲渡所得 – 3000万円)×14%(所得税10%+住民税4%)※譲渡所得 – 3000万円が6000万円以下の場合※平成25年から平成49年までは所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が追加で課税されます

④司法書士への報酬 抵当権抹消登記の費用は1万2千円程度 司法書士報酬:1万円 登録免許税:2千円
⑤引っ越し費用 近距離:5万円~20万円程度 遠距離:30万円~50万円程度 引っ越し費用の相場変動:近距離<遠距離、オフシーズン<繁忙期、荷物少ない<多い


①不動産会社の仲介手数料

マンション売却費用の中で最も大きな出費となるのが、不動産会社へ支払う仲介手数料となります。

仲介手数料には上限額が決まっており、その範囲内で支払われます。物件価格400万円以上の場合の上限価格は、売買価格の3%+6万円+消費税、物件価格200万円以下の上限価格は、売買価格の5%+消費税、となります。

また、手数料は成功報酬で、売買契約が成立した時点で発生します。売買契約時に仲介手数料の半額を、決済引き渡し時に残りの半額を支払います。

②売買契約書の印紙税

次に、印紙税を見てみましょう。定められた金額の印紙を、売買契約書に貼って消印することで納税の証となります。

金額ごとに違う印紙税を表でチェックしましょう。印紙税には平成9年4月1日から平成32年(2020年)3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものについては、税率の軽減措置があることも覚えておきましょう。

契約金額 税額 軽減後の税額
1万円未満 非課税 非課税
1万円以上10万円以下 200円 200円
10万円を超え50万円以下 400円 200円
50万円を超え100万円以下 1,000円 500円
100万円を超え500万円以下 2,000円 1,000円
500万円を超え1千万円以下 10,000円 5,000円
1千万円を超え5千万円以下 20,000円 10,000円
5千万円を超え1億円以下 60,000円 30,000円
1億円を超え5億円以下 100,000円 60,000円
5億円を超え10億円以下 200,000円 160,000円
10億円を超え50億円以下 400,000円 320,000円
50億円を超えるもの 600,000円 480,000円

③売却に伴う譲渡所得税

マンションを売却した時に課せられる税金に、譲渡所得税というものがあります。譲渡所得税は、購入した時よりも高く売却できた時に、その利益に応じて分離課税(所得税と住民税が課税される)として納めるものです。

ただし、売却する物件がマイホームであった場合には、さまざまな控除が設けられており支払いが免除されるケースがほとんどです。

それでは、具体的に譲渡所得税を計算していってみましょう。

譲渡所得を計算する

譲渡所得は、譲渡所得=譲渡対価ー(取得費+譲渡費用)で算出します。

譲渡対価=マンションを売却した金額取得費=マンションを取得する為にかかったお金の総額(購入代金のほか、仲介手数料、リフォーム代、登記費用なども含む)、譲渡費用=マンション売却にかかる費用(仲介手数料、印紙代など)。

そして、建物部分の取得費については減価償却分が考慮され、建物の取得費× 0.9× 0.015 × 経過年数 = 減価償却分(償却費相当額) という計算式が適用されます。

具体的には、建物部分の取得費が2,000万円で10年間住んだとすると、「2,000万円×0.9× 0.015×10=270万円」が、減価償却分(償却費相当額)となります。

譲渡所得に対する譲渡所得税を計算する

譲渡所得税は、短期譲渡所得長期譲渡所得で課税率が変わります。取得してから5年以下の売却における所得を短期譲渡所得、5年を超える売却における所得を長期譲渡所得として分類します。

短期譲渡所得の場合は、譲渡所得×39%(所得税30%+住民税9%)長期譲渡所得の場合は、譲渡所得×20%(所得税15%+住民税5%)となります。また、平成25年から平成49年までは所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が追加で課税されます。

5年を境に20%から39%に負担が増加することになります。しかし、もし、売却するのがマイホームであった場合は、課税対象ではなくなることがほとんどで、計算の必要もありません。次に、その内容を確認していきましょう。

譲渡所得税のマイホームに対する優遇措置

上記の譲渡所得税については、譲渡する物件がマイホームであった場合の優遇措置が設けられています。自宅を売却する場合、譲渡所得が3000万円を超えない限り税金はかからない、というものです。

また、この優遇措置は居住年数に関係なく適用され、また、一人につき最大で3,000万円の控除が可能、というもので、夫婦2人の名義で持っていた場合には、あわせて6,000万円の控除が受けられることになります。よって、マイホームであるマンション売却の譲渡所得税は、ほとんどの場合、支払わなくて良いケースが多いでしょう。

ただし、売却相手が親族など特別な関係である場合、マンション売却の前年、及び前々年に3000万円控除を使っていた場合、マイホーム買換えや、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けている場合、売却する家が、住まなくなってから3年以上(3年目を経過する日の属する年の12月31日を超えている)経過していた場合、につては、この優遇措置は該当しないことにも注意しましょう。

優遇措置は住宅ローンとの併用は不可

そしてこの優遇措置は、住宅ローン減税との併用はできないことを覚えておきましょう。譲渡所得が少額である場合には、この特別控除を受けず、新居の購入に住宅ローン減税を使う方がお得になることもあります。

④司法書士へ支払う抵当権抹消のための費用

抵当権抹消登記などは、売買契約の際に司法書士に依頼することがほとんどです。売り主が司法書士へ支払うべき報酬として、この住宅ローンが残っていた場合の抵当権抹消登記に要する費用があります。このときの司法書士への報酬は1万~2万円が相場で、格安なところでは5,000円の場合もあります。

また、登録免許税として、2,000円も必要となります。登録免許税は、1,000円×物件数と決められていて、マンションの場合、建物と土地(敷地権)で2件分の2,000円となります。

敷地権が複数になっている場合は、その分加算されるので注意しましょう。

⑤引っ越し費用

売却資金として忘れがちなのが、引っ越し費用です。また、買い替えの場合には、旧居から仮住まい先まで、と、仮住まい先から新居まで、の2回分の引越し費用がかかるので注意が必要です。

引っ越し費用は、距離、荷物の量、シーズンによって相場が変動します。例えば、県内で近距離の引っ越しなら10万円程度、しかし繁忙期なら20万円程度になる場合もあります。県外に及ぶような遠距離なら、オフシーズンで30万円程度、繁忙期なら50万程度となります。

ケースバイケースなので、インターネットを使って数社に見積もりをとっても良いでしょう。

申請に応じて戻ってくる費用

マンションを売却する際には、申請することで返納してもらえるものがあることも覚えておきましょう。

費用の目録 申請方法 内容詳細
管理費と修繕積立金 マンションの管理費・修繕積立金など、一月分前払いしているものは、引き渡し日以降の分を日割り計算で買主に請求可能。
固定資産税と都市計画税 1年分を一括で支払っている場合や、数ヶ月分を先払いしている場合、引き渡し日以降の分を買主に請求可能。
住宅ローン保証料の返戻金 住宅ローンを借り入れている金融機関 住宅ローンを借り入れたときに保証料を一括で支払っている場合は、繰上返済することで残りの保証期間に応じた保証料が戻ってくる。
火災保険料の返戻金 保険会社に申請・請求 火災保険を解約すると、残りの保険期間に応じた解約返戻金が戻ってくる。

①管理費と修繕積立金

管理費修繕積立金は、翌月分の管理費・修繕積立金を前月に支払ったり、数ヶ月分を前もって支払う事がほとんどです。

マンション売却の際には、1月分前払いしている管理費と修繕費は、引き渡し日以降の分を日割り計算で買主に請求できます。日割り計算は引き渡し日を基準にします。手続きについては、売主に代わって不動産会社が費用を計算し、買主に請求します。

②固定資産税と都市計画税

固定資産税都市計画税1年分を一括で支払っている場合や、数ヶ月分を先払いしている場合がほとんどです。

同じく引き渡し日を基準に、引き渡し日以降の分を日割り計算で買主に請求できます。手続きについても同じく、売主に代わって不動産会社が費用を計算し、買主に請求します。

③住宅ローン保証料の返戻金

住宅ローン保証一括で前払いしている場合住宅ローンを一括で繰上返済することで残りの保証期間に応じた保証料が戻ります。金融機関によって返金額や返金率が異なりますが、返金手続は抵当権抹消と合わせて行ってもらえることがほとんどです。

④火災保険と地震保険の返戻金

保険期間や保険料については火災保険地震保険でも異なりますが、どちらの場合においても期間内で解約した場合残り期間分の保険料に応じて返金してもらえます。

ここで注意が必要な事は、保険解約の申請をしなければ保険料の返金はありません。保険会社はマンションを売却したことを知る術はありませんので、保険解約を忘れずに行いましょう。

マンション売却を成功させるテクニック

マンションの売却には、これまで話してきた通り、いくつかコツがあります。以下にまとめましたのでぜひ参考にしてください。

売れない場合は理由を分析し方向修正する

マンションの売却において、重要なのは販売期間です。先述した通り、売却は3か月~6か月で計画を立てることが望ましく、それ以上長く売れ残ることはデメリットが増していく一方だからです。

まず、3か月が過ぎた段階で販売戦略を練り直す必要があるでしょう。そのために、売れない原因を探りましょう。そして、その問題点をクリアしていくことが大事です。

たとえば、不動産業者の販売活動が熱心でない、活動報告がいい加減、反響が少なく囲い込みの可能性がある場合なら、不動産業者の変更をした方が良いでしょう。不動産業者との媒介契約は3か月までと決まっています。信頼関係の築ける不動産業者をあらたに探しましょう。

また、価格設定を相場より高い可能性がある場合なら、まず不動産市況の悪化を考えましょう。直ちに価格を合わせるか、市況の回復を待ちましょう。近隣の同レベルのマンションの価格にも注意しましょう。この場合、価格を下げることよりまず、アピールポイントを販促することが大事です。そのうえで、価格を設定しなおしましょう。

3種の媒介契約の違いを正確に把握し利用する

不動産の売却において、媒介契約を選択することは重要です。そして、3種の媒介契約のうち、相応しいものを選択していくことが、売却を成功させる大きなポイントとなる事も知っておきましょう。

媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約があることは、「マンション売却の流れと期間」で先述した通りです。それぞれの契約の違いを、複数業者との契約の可否、直接契約の可否、契約の有効期間、指定流通機構(レインズ)への登録義務、活動報告の義務、のそれぞれの対応で判断することが大切です。

もっとも理にかなった選択のひとつが、査定→一般媒介契約→専任媒介契約であることを覚えてきましょう。

業者による買取という手段もある

どんなに頑張っても売却に繋がらない、早く売ってしまわないといけない事情がある場合などは、最終的には不動産会社に直接不動産を買ってもらう「買取」という手段があることも覚えておきましょう。

この方法のメリットは、決済が早く、周囲に売却を知られない、というところです。そして、デメリットは、売却価格が仲介で売るよりも下がる、ということです。

メリットとデメリット、マンション売却の目的を天秤にかけ、よく考えて判断を下しましょう。また、最終手段として買取という方法を持っておけば、心に余裕をもって売却に臨める=有利な条件、状況を生み出しやすいこともあるでしょう。

売却後に必要な確定申告の手続き

確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた全ての所得を合計し、所轄の税務署に確定申告書を提出して申告・納付する手続きです。

売却した翌年に確定申告する

マンションを売却した際に、売却益(譲渡所得)譲渡損失が出た場合には、翌年の2月16~3月15日までの間に確定申告をしましょう。

売却益が出た場合

申告内容は、不動産引き渡し後に課される譲渡所得税(分離課税)です。譲渡所得税は、物件を所有していた期間によって変化します。①5年以下②5年以上③10年以上で、以下のように課税されます。

①所得税:30% 住民税:15%
②所得税:15% 住民税:5%
③所得税:10% 住民税:4%

とはいえ、先述した通り、マイホーム売却に対する優遇措置の範囲はそうそう超えるケースは多くはありません。詳しくは、「売却に伴う譲渡所得税」をご覧ください。

譲渡損失が出た場合

マンションを売却することで、損失となることもあります。税法上では確定申告する必要はありません

しかし、確定申告をすることで給与などの所得と損益通算ができ、還付金を受け取ることができたり、税金を安くおさえることができたりする場合があるので、確定申告はした方が良いでしょう。

確定申告の手続き方法

確定申告の流れを具体的にみていきましょう。

まずは、課税譲渡所得の算出・所得税の計算が必要です。売却価格-(売却費用+購入費用+取得費用)-特別控除=譲渡所得、で求めましょう。詳しくは、前述の「譲渡所得を計算する」を参照しましょう。

次に、必要書類の準備です。確定申告に必要な書類は7種。税務署から取得するもの、と、自分で用意するものに分けて準備しましょう。

【税務署から取得する書類】
確定申告書B様式
所得税青色申告決済書(不動産所得用)
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

【自分で手配する書類】
不動産購入時の売買契約書
不動産売却時の売買契約書
仲介手数料や印紙税など、売却費用の領収書

そして、確定申告の作成です。方法は2通りあります。1つ目は、国税庁公式サイトから書類をダウンロードし記入する方法です。作成ガイドを参考にして、申告書を完成させましょう。2つ目は、e-taxによる電子申告する方法です。この場合は、まず電子証明書を取得する必要があります。電子申告等開始届出書を税務署に提出し、利用者識別番号を取得しましょう。この方法なら24時間利用可能です。

確定申告書が作成できたら、書類一式を税務署へ提出しにいきましょう。

不動産売却をした翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行い、その後に所得税と復興税を納税します。

全額納付が難しい場合は延納も可能

売却益の金額が大きく、全額納付が難しい場合には、分納も可能です。その場合には、納付期限までに税額の2分の1以上を納付し、残りは5月31日までに納付します。

ただし、申告の際に申告書に延納の届け出を記載する必要があり、延納中は年1.7%の利子税が加算されることを覚えておきましょう。

マンション売却は準備と計画性をもって成功させよう

マンションは大きな財産であり、その売却は、次の新たな財産を手に入れるための重要なステップになります。大きな金銭が動くことでもあり、必ず成功させなければいけないというプレッシャーもあるでしょう。

しかし、しっかりとした計画をたて、事前準備を整え、必要な知識を得て臨むことができれば失敗することはないことは、これまでお話してきた通りです。不足する経験値は、信頼できる不動産業者をパートナーに選び、協力することでクリアできるでしょう。その中でめぐってくるタイミングやチャンスは、準備さえ整っていれば、正しく掴むことができるはずです。

マンションの売却は事前準備と計画性をもって、望んだ成功を手に入れることが可能となるでしょう。