家を売るにはどうしたら良い?

家を売るためには、まず念入りな事前準備が必要です。必要な書類、かかる費用など、家を売るための基本的な知識を、手順にそって解説していきます。注意点もあわせて提示しているので参考にしていただき、慎重に準備や販売活動などを進めていきましょう。

まずは準備期間を設けよう

家を売るためには準備することが膨大にあります。直前になり、慌てて失敗することのないよう、余裕を持って準備をしておくことが大切です。また、念入りな準備によって家の売却価格が良い方向に影響することもあります。

  • 相場を調べ適正価格を把握する
  • 必要資金を準備する
  • 3か月~6か月を目安に販売計画をたてる
  • 必要書類をチェックしておく

相場を調べ適正価格を把握する

準備期間を設ける理由は、家をいくらで売れば良いか下調べをするためです。相場を調べて適正価格を把握することで、査定時の判断基準になります。相場を調べる方法としてよく利用されている手段は「土地情報総合システムを利用する」「レインズを利用する」「近隣物件の売り出し価格を調査する」ことです。

土地情報総合システムとは、不動産の取引価格、地価公示・都道府県地価調査の価格を検索することができる国土交通省のWEBサイトです。実際に取引をした人に対するアンケート結果をデータ化し、閲覧できる不動産が特定できないように加工してから取引価格情報を公表しています。相場や地価の推移が分かるので、家を売る取り引きの際にはこの情報があると役に立ちます。

レインズマーケットインフォーメーションは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理している不動産流通標準情報システムです。直近1年の取引情報や個別の取引情報を調べることができ、その情報を売買価格の参考にすることができます。地番等は表示されないので物件は特定されません。しかし地域の相場を知ることができます。

近隣の物件の売り出し価格を調べる方法でも相場を把握できます。不動産ポータルサイトや新聞の折り込みチラシにある情報の中から自分の家の条件に近い物件をチェックする方法です。閲覧できるのは売り出し価格で、実際の取引価格ではありません。そのため参考価格という認識になります。参考価格でも近隣で似た物件の価格を把握できたら相場の参考としては十分な情報です。

マンションの場合は、上記の方法で市場価格を把握することができます。一戸建ての場合は上記の方法に加えて、売却価格を計算して求める方法があることも知っておきましょう。マンションの評価基準は市場価格ですが、一戸建ては土地価格と築年数に応じた建物価格を足したものが評価基準になるため、相場の調べ方も変わります。

以下が土地の相場を算出するための計算式です。

土地の相場/実勢価格=路線価÷80%×110%。
建物の相場/再調達価格=建物の構造別の1㎡あたりの基準単価×延床面積
建物価格=再調達価格×[(耐用年数-経過年数)÷耐用年数]

土地価格で一般的に指標とされる「公示地価」は、WEBサイトで調べることができる「路線価」の8割程度です。そして実際に売買される価格の相場である実勢価格は、公示地価よりも1割程度高いとされているので110%を掛けています。

戸建ての建物の価格は、「再調達価格」を軸にして計算します。再調達価格とは、売る予定の建物を同じ規模や仕様で新築した場合の費用のことです。「建物の構造別の1㎡あたりの基準単価」は不動産仲介会社や銀行に問い合わせたり国税庁のWEBサイトで標準的な建物価額を調べたりできます。例えば木造住宅は法定耐用年数22年、基準単価は約15万円前後になることが多いです。

ここまで計算できれば、最後に法定耐用年数から建物が建ってから何年経過しているのかを引き、現在の建物価格を割り出すことができます。

必要資金を準備する

家を売るには資金が必要です。どのようなことにお金がかかるかというと「仲介手数料」「登記費用」「印紙税」「住宅ローン繰り下げ一括返済手数料」「引っ越し費用」と「その他」にも必要に応じて費用が発生します。

仲介手数料は売買契約で不動産会社に支払うものです。法律で上限が定められているので、その上限額を目安にするとよいでしょう。上限額は下記の計算式によって求めることができます。正式な計算式は少し複雑なので簡易的な計算式でおおよその仲介手数料の上限を知ることも可能です。

正式な計算式 200万円以下:取引額の5%+消費税以内
200万円超400万円以下の部分:取引額の4%+消費税以内
400万円超の部分:取引額の3%+消費税以内
最後にそれぞれを足す
簡易的な計算式 (売買価格(税抜)×3%+6万円)×消費税

家を売却すると必要になる所有権移転登記は買主が負担します。売主が負担するのは、住宅ローンが残っていたときの抵当権抹消登記で必要な登録免許税です。この手続きは素人には難しいので司法書士に依頼するケースが多く、司法書士に支払う報酬として15,000円~50,000円程度かかります。

印紙税は売買価格(契約価格)によって課税額が変わることと、平成9年4月1日から平成32年(2020年)3月31日までの間に作成される不動産の譲渡は軽減措置があることに注意が必要です。金額分の印紙を売買契約書に貼り納税したとみなされます。印紙税額は下記の表を参考にしてください。

契約金額 本則税率による印紙税額(2020年4月1日から) 軽減措置された印紙税額(2020年3月31日まで)
1万円未満 非課税 非課税
1万円以上10万円以下 200円 200円(軽減措置なし)
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1,000円 500円
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超5億円以下 10万円 60,000円
5億円超10億円以下 20万円 16万円
10億円超50億円以下 40万円 32万円
50億円超 60万円 42万円

住宅ローンの残債務が残っている場合は、残りを一括返済しなくてはなりません。その際に一括返済手数料がかかります。金額は金融機関や方法によりそれぞれですが、一般的には5,000円~30,000円程度です。

引っ越し費用もケースバイケースで、家を売って新しい家に住むまでに仮住まいが必要になる場合、引っ越し費用が2回分必要になります。引っ越し業者により金額に差が出るので注意が必要です。数社にWEB見積もりを取るなどし、損をしないように気をつけましょう。なお、繁忙期、遠距離、荷物量が多くなるほど値上がりします。

必要に応じて別途費用がかかるので、余裕を持ってお金の準備をしておきましょう。例えば、廃棄物の処理費用として10万円~50万円程度、敷地の測量費として50万円~80万円程度、建物の解体費として100万円~300万円程度、ハウスクリーニング費として5万円~15万円程度かかることがあります。

費用は不動産会社が目安となる金額を教えてくれたり、専門会社を紹介してくれたりするので、事前に相談してみましょう。

3か月~6か月を目安に販売計画をたてる

不動産会社との契約期間は3か月です。それ以降は更新して契約を続けることができます。しかし、3か月~6か月を目安に売ることが理想です。

売り出し期間が長引くと、売れない物件としてのマイナスの印象を持たれてしまいます。そうなった場合、値引きせざるを得ない状況となるので希望価格での売却は難しいです。実際、自宅を売却した人のうち半数以上が販売開始から3か月未満で売れています。

しかし売りにくい時期もあるので、販売開始から6か月までは様子を見るのもよいでしょう。例えば夏休み時期は売れにくく、1月~3月と9月~11月は売れやすい時期だとされています。

それでも売れない場合は、「販売価格が高い」「販売戦略が間違っている」「販売サイトに掲載されている写真がよくない」「不動産会社に問題がある」など、売れない原因を探って問題を改善することが必要です。

必要書類をチェックしておく

家の販売活動には煩雑な書類が必要になります。そのたびごとに準備していては慌てて取りこぼす可能性があるので注意が必要です。事前準備はスムーズな売却につながります。下記のチェックリストで必要書類の確認をしましょう。

家を売る前に必要な書類

□購入時のパンフレットなど
□住宅ローンの償還表

売買契約締結時に必要な書類

□印鑑証明書
□住民票
□権利書
□固定資産税納税通知書
□建築確認済証、検査済証
□管理規約、議事録、長期修繕計画書(マンションの場合)

売買決済時に必要な書類

□固定資産税評価証明書
□登記関連の書類(司法書士に対する委任状、登記原因証明情報、決済当日に立ち会わない場合は代理権授与証明書など)

それぞれの必要書類の内容と入手方法は下記の表を参考にしてください。

必要な時期 必要書類 内容 入手方法
家を売る前 購入時のパンフレットなど 不動産会社が広告に掲載する募集図面を作る際の参考にするために必要です。買主にも渡します。 購入時に売主から受け取っているはずですが、紛失した場合は施工会社や管理会社に問い合わせましょう。
住宅ローンの償還表 住宅ローンが残っている場合に必要です。売却価格を決める際の目安にもします。 金融機関から送られてくるものです。詳細は金融機関に問い合わせましょう。
売買契約締結時 印鑑証明書 所有権移転登記の添付書類で、実印を証明するために必要です。有効期間が3か月なので、引き渡しから3か月以上先になる場合は不動産会社の指示を待ちましょう。 基本的に役所で取得しますが、最近ではコンビニで発行できる自治体もあります。
住民票 登記上の住所と実際の住所が違う場合のみ必要です。同じ場合は必要ありません。 住民票がある役所で入手できます。
権利書 2005年より前に購入した不動産は「登記済権利書」で、それ以降の場合は「登記識別情報」が権利書です。売買契約時には見せるだけで決済時に渡します。 登記の際に発行される書類で自宅に保管しているはずです。紛失した場合は再発行できないので、不動産会社に相談し指示に従いましょう。
固定資産税納税通知書 家を売る時に清算するので、その年の固定資産税納税通知書が必要です。 毎年5月頃に税務署から郵送されます。
建築確認済証、検査済証 建築確認を受けていることを証明するために必要です。買主にとって銀行から融資を受けるために大切な書類となります。 購入時に売主から受け取っているはずです。紛失した場合は役所の建築課などに相談するとこれに変わる書類をもらえます。
管理規約、議事録、長期修繕計画書(マンションの場合) マンションの場合必ず管理組合員になるため、必ずこの3つの書類が必要です。買主に渡してスムーズに引き継ぎましょう。 管理規約は購入時に受け取っているはずです。議事録と長期修繕計画書は、管理会社から郵送されています。紛失した場合は管理会社に問い合わせましょう。
売買決済時 固定資産税評価証明書 移転登記の際に土地と建物それぞれ必要です。建物が複数の土地に跨がって建っている場合は、すべての土地の固定資産税評価証明書を用意します。有効期間は3カ月です。 都税事務所や県税事務所で入手できます。
登記関連の書類 「司法書士に対する委任状」「登記原因証明情報」「決済当日に立ち会わない場合は代理権授与証明書」が必要です。 すべて司法書士が作成してくれます。

家を売る手順とポイント

手順を事前に把握することで、家を売るまでの流れがスムーズに進みます。段階ごとのポイントも確認しながら、一つずつ慎重に行いましょう。

  • 不動産会社に査定依頼をする
  • 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  • 販売活動を開始する
  • 売買契約の成立
  • 決済及び引き渡し

不動産会社に査定依頼をする

査定は複数社に依頼して比較しましょう。それぞれの業者で得意な分野が違うため、査定額に差が出るからです。ただし多すぎても見積もりの真偽を確かめる手間が膨大で判断が難しくなります。少なすぎても比較対象できず、業者同士の競合意識がなくなるのでよくありません。依頼する数は3~4社が適当で、大手1~2社と地元の活気ある2社程度が理想的です。

査定額だけを見て比較するのはおすすめできません。金額だけではなく、金額の根拠に注目することがポイントです。根拠を調べることで、信頼できるかどうかが判断できます。それでも経験不足や知識不足では判断が難しいでしょう。そのために事前に相場を調べて適正価格を把握し判断材料にしましょう。さらに業者や担当者の対応を見て信頼度を見計らうことも重要です。

複数社に査定を依頼するために一社ずつ依頼して回るのは大変なので、一括査定の利用が便利だとよく言われています。確かに、一度依頼をするだけで複数社の査定をまとめて比較できるので手間が少ないです。しかし一括査定はデメリットも多いことを知っておく必要があります。

デメリットとは、「契約欲しさからの高額査定の危険性」や「しつこい電話がくる可能性」です。一括査定サイトに登録している業者は、他社と査定を比較されることがわかっています。そのため相場からかけ離れた高額査定を提示して契約を勝ち取ろうとすることがあるので気をつけなければなりません。そのままの値段ではもちろん売れないため、結局値下げすることになります。

一括査定後にしつこい営業電話をかけてくる業者もいます。電話をかけるほど仕事熱心だと捉えることもできるので、売却活動も熱心に行ってくれるかもしれません。しかし電話の対応が嫌なら嘘でも「他社に決めた」などと言ってきっぱり断ることが大切です。売却活動は担当者との相性も重要なので、電話の対応に不満がある業者との契約は避けましょう。

不動産会社と媒介契約を結ぶ

媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があり、それぞれに異なる特徴があることを理解するのが大事です。どの契約を結ぶかによって家の売れ行きが左右されます。下記の表を見て3種の契約の特徴を確認し、相応しい契約を選択しましょう。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
契約できる不動産会社の数 複数社と契約可 1社のみ 1社のみ
自己発見取引の是非 自分で見つけた買い手にも販売可 自分で見つけた買い手にも販売可 自分で見つけた買い手でも業者の仲介が必要
有効契約期間 規定なし(一般的に行政指導に従い3か月となる) 最長3か月 最長3か月
レインズへの登録義務 登録義務なし 契約から7日以内に登録 契約から5日以内に登録
活動報告の義務 報告義務なし 14日に1回以上 7日に1回以上

一般媒介のみ複数社と契約できますが、仲介を依頼した業者に他にどの業者に仲介を依頼しているのかを通知する「明示型」と、通知する必要がない「非明示型」があることも把握しておきましょう。

複数社と契約することで業者間の競争意識が出ることもありますが、他社に取られる可能性が不安要素にもなります。1社のみの契約は競争意識は少なくなりますが、売却に対する取り組みが熱心になる可能性も高いです。また、自分で買い手を見つけた場合にどうしたいかで選択する契約の種類が変わります。

より良い契約を選ぶためには、媒介契約の性質を理解することがポイントです。自分にとって都合が良い契約を選びましょう。

販売活動を開始する

媒介契約を結んだ不動産会社が行う販売活動は、レインズの登録、チラシ作成やポスティング、顧客への紹介などの広告活動が中心です。同時に売り主への活動報告も行います。内覧時に購入希望者に渡す買付証明書を入手するのも不動産会社が行います。

売り主が行うことは、内覧の準備や対応、活動報告の受信と販売活動への打診です。また、購入希望者から提示された買付証明書に記載のある希望価格、支払い条件、引き渡し希望日などを見て、希望と一致しない部分があれば交渉します。販売活動を上手く進めるポイントは不動産会社との連携です。納得のいく売買契約の締結を目指して相談しながら進めていきましょう。

売買契約の成立

売り主と買主の意思が合致したら重要事項を説明し、売買契約を結んで売買成立です。そして決済引き渡しの日取りを設定します。引き渡しの時期は住宅ローンの兼ね合いもあるのでまちまちですが、一般的には売買契約から1カ月後くらいになるケースが多いです。

必要書類を以て契約締結となることが重要なポイントなので、不動産会社に確認して準備しておきましょう。なお、売買契約時には買主から手付金を受け取ります。手付金は一般的に売買価格の10~20%程度が目安です。残代金は引き渡し時に受け取ります。

決済及び引き渡し

決済引き渡しは売買契約から約1カ月以内に行うので、それまでにやるべきことを終わらせておくことがポイントです。約1カ月の間に以下のことを行う必要があります。

  • 所有権移転登記に必要な書類などの準備(司法書士)
  • 抵当権抹消に必要な書類の準備
  • 土地の境界確定と測量
  • 付帯設備の最終確認
  • 新居への引越し

決済当日にもやるべきことがたくさんあります。以下にある当日の流れも事前に把握し、準備をしておきましょう。

  1. 本人確認、書類確認
  2. 買主のローン融資
  3. 税金等の清算
  4. 領収書の発行
  5. 仲介手数料支払い
  6. 司法書士への報酬支払
  7. 売主のローン返済手続き
  8. 抵当権の抹消登記完了
  9. 鍵、重要事項説明書の引き渡し

なお、決済は立会人が必要です。不動産業者、司法書士、買い手のローンを借りた金融機関の担当者、売り手のローンを借りていた金融機関の担当者が立ち会います。高額な金額の取引なので安全のために銀行の一室を借り切って行うことが多いです。

家を売る時に課税される税金

家を売る時ときにはさまざまな税金の支払いが発生します。支払いが必要な税金の種類と税率や税額を把握しておきましょう。

譲渡所得税は売却益が出た時に課税される

購入したときよりも家が高く売れた場合、「譲渡所得」として確定申告し、「譲渡所得税」を納めなければなりません。所得税は、給与所得や不動産所得などの各所得税の金額を合計し、税額を計算する総合課税が原則です。しかし譲渡所得の場合は、他の所得とは合算しない分離課税方式なので、個別に税額を計算します。

「譲渡所得」と「譲渡所得税」は自分で計算することが可能です。以下の計算式の通りに計算してみましょう。

譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)
譲渡所得税=譲渡所得×譲渡所得税の税率

譲渡所得税の税率は所有期間によって異なります。5年以下の場合は短期譲渡所得となり、所得税30%と住民税9%で39%です。5年超の場合は長期譲渡所得となり、所得税15%と住民税5%で20%となります。なお、上記の計算式内にある「譲渡価額」「取得費」「譲渡費用」に関する詳細は以下の表を参考にしてください。

譲渡価額 土地・建物の譲渡代金、固定資産税・都市計画税の清算金などです。
取得費 実額法:土地建物の購入代金と取得にかかった費用の合計金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額
概算法:譲渡価額×5%
上記2つのうちのいずれか高い方の金額を使います。
譲渡費用 仲介手数料、登記費用、印紙税、立退料、建物の取壊し費用、測量費など、譲渡のために直接かかった費用です。

2035年まで課税される復興所得税

東日本大震災の被害からの復興を目的に、特別措置法として創設されたのが「復興所得税」です。2013年~2035年までの各年の所得に対して2.1%の税率で課税されます。復興特別所得税額および所得税は以下の通りです。

復興特別所得税額=基準所得税額×2.1%
所得税=基準所得税額+復興特別所得税

上記を参考に、復興特別所得税抜きの譲渡所得税の税率と込みの税率を比較してみましょう。

所有期間 復興特別所得税抜きの税率(2036年~) 復興特別所得税込みの税率(2013年~2035年)
短期譲渡所得(所有期間が5年以下) 39%(所得税が30%、住民税が9%) 39.63%(所得税が30.63%、住民税が9%)
長期譲渡所得(所有期間が5年超) 20%(所得税が15% 住民税が5%) 20.315%(所得税が15.315% 住民税が5%)

課税売上高1,000万円以上の場合に課税される消費税

消費税は「土地部分」には加算されず、「建物部分」に対してのみ加算されます。ただし、年間の課税売上高が1,000万円以下の場合は消費税がかかりません。売り主の年間売上高が1,000万円を超えた場合に、「建物部分」に対して課税されます。

抵当権抹消登記のための免許税

売却するときには、買主が抵当権のない物件を取得できるようにしなければなりません。抵当権とは、住宅ローンなどでお金を借りる際に、家や土地を担保にすることです。抵当権抹消登記をするために「登録免許税」がかかります。土地と建物のそれぞれにかかり、不動産1個につき1,000円の支払いが必要です。司法書士に依頼する場合の報酬の相場は10,000円前後だとされています。

売買契約書に貼付する印紙税

家を売るときには売買契約書に記載されている金額に応じた印紙税が課せられます。売り主の場合、売買契約書を原本で所有する必要がないため、売買契約書をコピーして印紙税を節約することも可能です。なお、印紙税は2020年3月31日まで軽減措置の対象となっています。

契約金額 本則税率による印紙税額(2020年4月1日から) 軽減措置された印紙税額(2020年3月31日まで)
1万円未満 非課税 非課税
1万円以上10万円以下 200円 200円(軽減措置なし)
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1,000円 500円
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超5億円以下 10万円 60,000円
5億円超10億円以下 20万円 16万円
10億円超50億円以下 40万円 32万円
50億円超 60万円 42万円

家を売る時に控除される譲渡所得の条件

控除される譲渡所得があることを知っておくことも重要です。条件を満たせば家を売るときにかかる税金が控除されるため、適用できるか必ず確認しましょう。

居住用財産の3000万円の特別控除

売る家がマイホームであれば、譲渡所得から3,000万円が控除できる制度です。控除になった場合は、「譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-3,000万円」となります。名義人はそれぞれ控除を受けられるので、夫婦共有名義の家を売る場合は「3,000万円×2」で6,000万円の控除を受けることが可能です。

このことから、マイホームを売って譲渡所得税を支払うケースが少ないことがわかります。この特例が該当するための要件は以下の通りです。

  • 売却する家に住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに譲渡する
  • 譲渡する相手は配偶者や直系血族、生計を一つにする親族等、特別な関係ではない
  • 譲渡した年の前年または前々年にこの特例を受けていない
  • 買い替え特例や収用、交換などの特例の適用を受けていない
  • 購入する家が中古マンションの場合は、築20年以内
  • 購入する家は、家を譲渡した年の前年の1月1日から譲渡した年の翌年末までに取得している
  • 購入する家に、取得した年の翌年末までに本人が居住する

所有期間が10年以上の特例

長期譲渡所得の中でも、所有期間が10年以上の場合は所有軽減税率の特例があります。この特例は、譲渡所得6,000万円以下と6,000万円超の部分に分けて税率が変わることに注意が必要です。税率は以下の表を参考にしてください。

所有期間 所得税 住民税
短期譲渡所得(所有期間5年以内) 30%(復興所得税込み30.21%) 9%
長期譲渡所得(所有期間5年以上) 15%(復興所得税込み15.315%) 5%
10年超所有軽減税率の特例 課税譲渡所得6,000万円以下の部分に対して10%(復興所得税込み10.21%)
課税譲渡所得6,000万円超の部分に対して15%(復興所得税込み15.315%)
課税譲渡所得6,000万円以下の部分に対して4%
課税譲渡所得6,000万円超の部分に対して5%

期間内に確定申告をする

支払う税金について把握したら、期間内に確定申告の手続きを行います。確定申告の期間は2月中旬~3月中旬です。毎年1月1日~12月31日までの1年間に生じた所得の合計を計算し、税務署に確定申告書を提出して申告・納付を行います。申告しなかった場合、法定納付期限の翌日から完納の日まで延滞税がかかるので注意しましょう。

損益が出た場合も確定申告をする

損益が出た場合、税法上では確定申告する必要はありません。しかし、損失が出た場合でも、確定申告することのメリットがある場合があります。それは、要件を満たせば給与などの所得と損益通算ができ、税金が安くなる可能性があることです。そのため、損益が出た場合も確定申告を行いましょう。

家を売るコツ

工夫次第で家を上手に売ることができます。家を売るコツを心得ておきましょう。

不動産会社との媒介契約は3か月で見直す

更新する3カ月毎を目処に、契約を見直しましょう。3カ月経っても売れていない場合、契約に問題がある可能性があります。例えば一般媒介を結んでいる場合、専任媒介契約に変更するのが理想的です。なお、活動報告があいまいであったり、反響が少ない状況が続いていたなら、不動産会社自体に問題があることも考えられます。新たな業者と契約し直すのも手段としておすすめです。

査定は一括査定でなく不動産会社に直接依頼する

具体的に不動産の売却を検討しているなら、一括査定ではなく直接依頼しましょう。一括査定ではそれぞれの価格の根拠や信頼性を証明する作業が困難です。

複数に直接依頼する場合も、業者をまわるのは大変ですが、メリットもあります。それは、営業マンと直接面会でき、疑問点や不明点を直接質問できることです。本気で査定をしてくれるので、意図的な高額査定の可能性が低くなります。査定は大手1~2社と地元の活気ある業者2社程度に依頼しましょう。

値引き交渉は状況に応じてする

購入希望者の要望にはなるべく応じたほうが良いのですが、値引き交渉に関しては必ずしも応じないといけないわけではありません。不動産会社の担当者と相談しながら、状況に応じて決めましょう。

例えば、「そのときその物件にどれくらい問い合わせや内覧が来ているか」を担当者に確認し、他にも良い条件で売れる可能性が高いのであれば、無理に値引き交渉をする購入希望者に売る必要はありません。なお、値引き以外にも内装の張替えなどをしない条件を提示する方法もあります。交渉の仕方も担当者にアドバイスをもらいながら進めていきましょう。

内覧は勝負所と心得る

内覧は一発勝負なので、第一印象が肝心です。入口の玄関をはじめ、リビングや水まわりなど、とにかくきれいに、清潔に見えるようにしておきましょう。内覧者は他の家も候補としていることが多いので、少しでも気になる点があると他の選択肢のほうに行ってしまいます。内覧は勝負所と心得ることが大事です。

内覧者の内覧希望日にはできるだけあわせるようにします。そして、内覧時には「アピールポイントをおさえておくこと」と「内覧者の聞きたいことの応えを用意しておくこと」が重要です。近隣施設、近くで買い物する場所、近隣住民の様子、季節の地元の行事、日当たりなどについてまとめておくとよいでしょう。

相場をそのまま売却価格に反映させない

相場を調べることは、売却価格の参考にするために重要です。しかし家を売るときにはさまざまな必要経費があるので、それらの経費を含んだ売却価格の設定が必要になります。また、値引き交渉もほぼ必ずあるものなので、それらを見越した価格設定が必要です。必要経費は場合によりますが、新居購入費用、仲介手数料、引っ越し費用、住宅ローン残債、司法書士への報酬などがあります。

計画性と丁寧な準備でかしこく家を売ろう

家を売るためには数々の手順があり、それぞれやるべきことや準備することが膨大にあります。かしこく家を売るためには、計画性と丁寧な準備がポイントです。準備期間をしっかり設け、事前に必要書類や費用の確認などをしておくことで、その後の流れがスムーズに進みます。

また、仲介の不動産会社との連携も重要です。不明な点があったりアドバイスをもらいたいときは、信頼できる担当者に相談しましょう。