1.住み替え時にどれくらい税金がかかるのか悩んでいませんか

現在住んでいる家を売り、新居を購入しようと考えているとき、税金を考えないことには予算が組みづらいですよね。もし何百万円も税金を納める必要があるとしたら、新居購入に不安を抱えてしまうかもしれません。しかし、特例や減税制度を活用すれば、納める税金を大きく減らせるケースが多いです。

まずは住み替えにどのような税金が関係するかを把握し、その上で活用できる制度について確認しましょう。制度の活用に必要不可欠な確定申告についても、必要書類を中心に解説します。

2.住み替え先の住宅を購入する時に生じる税金

新居の購入の際に生じる税金には、消費税、印紙税、登録免許税、不動産取得税の4種類があります。それぞれについて詳しく見てみましょう。

2.1 住宅の購入にかかる消費税

住宅の購入にかかる消費税はいくつかあり、購入する物件によっても異なります。消費税は基本的に、事業者が商売として行うものと、「消費」つまり使えば減る、価値を失っていくものにかかります。土地は使っても減りはしないため、非課税対象です。また、建物に関しても、個人が自らの住宅を売る場合は商売ではないことから非課税となります。

消費税がかかるものは、事業者から購入する新築物件、個人が売主でも投資用に購入して転売する物件です。その他、不動産会社への仲介手数料、建築工事やリフォームの代金、住宅ローン事務手数料などが該当します。

なお、2019年10月に消費税が8%から10%への引き上げが予定されています。消費税は契約段階ではなく、決済時にかかることに注意が必要です。2019年9月30日までに購入代金を支払って引き渡しを受ければ、8%です。

2.2 売買契約書にかかる印紙税

売買契約書(不動産譲渡契約書)には、印紙税を納めたことを証明する印紙を貼り付けます。契約金額ごとに印紙税の額が決まっており、これを本則税率といいます。ただし、10万円を超える契約金額の不動産譲渡契約書と建設工事請負契約書の印紙税については、2018年4月1日から2020年3月31日までは軽減措置が設けられています。表で確認しましょう。

契約金額 本則税率 軽減税率
不動産譲渡契約書 建設工事請負契約書
10,000円以上~10万円以下 200円
10万円超~50万円以下 100万円超~200万円以下 400円 200円
50万円超~100万円以下 200万円超~300万円以下 1,000円 500円
100万円超~500万円以下 300万円超~500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超~1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超~5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超~1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超~5億円以下 100,000円 60,000円

2.3 登記する際にかかる登録免許税

登録免許税は、不動産などの所有者が誰であるかを、法的な権利として設定するための「登記」にかかる税金です。土地と建物は別々に登記する必要があり、取得方法によって税率が異なっています。下記の表で確認しましょう。なお、建物に関しては床面積が50㎡を超え、取得から1年以内に登記するなどの条件を満たせば、軽減税率を適用できます。

課税標準 税率 軽減税率 軽減税率の期限
土地 売買 固定資産税評価額 2.0%
相続 0.4%
贈与 2.0%
建物 所有権の保存 固定資産税評価額
or
登記官認定価格
0.4% 0.15% 2020年3月3日まで
所有権の移転(売買) 固定資産税評価額 2.0% 0.3% 2020年3月3日まで
相続 0.45
贈与 2.0%
抵当権の設定 債権金額 0.4% 0.1% 2020年3月31日まで

2.4 不動産を購入した時にかかる不動産取得税

不動産取得税は、取得直後ではなく入居してしばらく経ってから送られてくる納税通知書に従って支払う税金です。固定資産税評価額に対して、土地と建物それぞれに4%を乗じた金額を通知されます。ただし、2021年3月31日までに取得した不動産に関しては軽減措置があり、計算方法がそれぞれ異なるため確認しておきましょう。

  • 宅地:固定資産税評価額 × 1/2 × 3%
  • 建物:固定資産税評価額 × 3%

3.住み替え前の自宅を売却する時にかかる税金

納税額が大きくなりやすいのは、自宅を売却して得た所得に対してかかる所得税と住民税です。その計算方法を確認しましょう。また、購入時と同様に印紙税と登録免許税は納める必要があります。

3.1 譲渡所得にかかる所得税と住民税

譲渡所得は不動産を売却して得た利益を指します。この利益は収入となるため、所得税や住民税の課税対象となるわけです。利益である以上、売却額から仕入れ値を引かなければなりません。不動産売買における仕入れ値は「取得費」と「譲渡費用」の2種類に分けて考えます。

取得費には、次のような項目があります。

  • 土地の購入時の代金
  • 建物の代金から経年劣化で減少した価値(減価償却費)を差し引いた金額
  • 建物付の土地を購入して建物を1年以内に取り壊した費用
  • 購入のために借り入れた資金の利子の内、使用開始までに支払った分
  • 土地の取得のために必要だった測量費
  • 土地の埋め立てや地ならしなどの造成費用
  • 登録免許税、登記費用、不動産取得税、印紙税

譲渡費用は、次のような項目があります。

  • 不動産会社へ支払う仲介手数料
  • 印紙税
  • 土地を売るために建物を取り壊した場合の費用と建物の損失額

これらを売却額から差し引いたものが譲渡所得で、土地や建物の所有期間に応じて課税額の計算方法が変わります。

所有期間が5年を超える長期譲渡所得の場合

譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得に該当します。税率はそれぞれ所得税15%、住民税5%です。また、2013年から2037年までは、所得税額に2.1%を乗じた復興特別所得税も納付しなければなりません。仮に1,000万円の譲渡所得があった場合、次のような計算を行います。

計算式 税額
所得税 1,000万円×15% 150万円
復興特別所得税 150万円×2.1% 31,500円
住民税 1,000万円×5% 50万円
合計 2,031,500円

所有期間が5年以下の短期譲渡所得の場合

譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得となり、長期譲渡所得よりも税率が高くなります。所得税は30%、住民税は9%です。復興所得税は税率自体は2.1%で同じですが、所得税額で計算するため注意が必要です。比較のために先ほどと同じく1,000万円の譲渡所得として計算式を記載します。

計算式 税額
所得税 1,000万円×30% 300万円
復興特別所得税 300万円×2.1% 63,000円
住民税 1,000万円×9% 90万円
合計 3,963,000円

3.2 印紙税と登録免許税

住宅購入時の税金でも解説したように、売却も売買契約書を結ぶため印紙税がかかります。登録免許税についても同様に、固定資産税評価額に応じた金額がかかります。売却時に注意したいことは抵当権の抹消登記です。

抵当権の抹消登記は不動産1つに対して1,000円と決まっています。土地と建物それぞれに抵当権が設定してあれば、それぞれの抹消登記に1,000円がかかり、合計2,000円です。引き渡しには抵当権の抹消が行われていなければならないため、売却額で住宅ローンの返済が完了したら、すぐに手続きを行いましょう。

また、建物が老朽化などで売却対象にならず、土地として売るために建物を解体した場合は建物の滅失登記を行います。滅失登記は手続きが必要なだけで、登録免許税はかかりません。

4.住み替えによる自宅の売却で譲渡益が出た場合の特例

ここでは「譲渡益が出た場合」について適用できる可能性が高い特例を紹介します。先述のように譲渡益、つまり譲渡所得に対しては税率によって計算される税金が発生しますが、特例を受けることで大幅な減額になる可能性が高いです。

4.1 3,000万円の特別控除

3,000万円の特別控除は、自らの居住用財産を売った場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除してよいという制度で「マイホーム特例」と呼ばれています。所有の長短も関係がなく、売却額から取得費と譲渡費用を差し引いた金額が3,000万円を超えなければ、譲渡所得は0円になるというものです。

マイホームの住み替えを検討している方であれば、適用条件に概ね該当するはずですが、念のため適用条件を列挙しておきます。

  • 自分が住んでいた家屋または家屋とともにその敷地の借地権を売る場合
  • 以前住んでいた家でも住まなくなった日から3年を経過する日の属する12月31日までに売ること
  • 家を取り壊した場合(土地を売る場合)は取り壊しから1年以内の売却であり駐車場等にしていないこと
  • 売った年の前年、前々年にこの特例、譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例を受けていないこと
  • 売った年、前年、前々年にマイホームの買い替えや交換の特例適用を受けていないこと
  • 売った家屋や敷地について収用等の特別控除、その他特例の適用を受けていないこと
  • 売主と買主が親子や夫婦など、生計を一にする親族および内縁関係など特別な関係でないこと

4.2 10年超所有軽減税率の特例

長期譲渡所得の中でも、所有から10年を超える場合は、軽減税率の特例を受けることができます。3,000万円の特別控除とも併用が可能です。5年以上10年未満の場合は、所得税率が15%でしたが、10年超えの場合、譲渡所得6,000万円以下の部分が10%となります。住民税と特別復興所得税については、軽減税率はありません。

適用条件は下記のようなものがあります。

  • 自分が住んでいた家屋または家屋とともにその敷地を売る場合
  • 売った年の1月1日時点で家屋や敷地の所有期間が10年を超えていること
  • 以前住んでいた家でも住まなくなった日から3年を経過する日の属する12月31日までに売ること
  • 家屋を取り壊した場合は取り壊した日の属する年の1月1日時点で所有期間が10年を超えること
  • 取り壊し日から1年以内に譲渡契約を結んでいること、駐車場などにしていないこと
  • マイホームの買い替えや交換の特例適用を受けていないこと(3,000万円控除は同時適用可)
  • 売主と買主が親子や夫婦など、生計を一にする親族および内縁関係など特別な関係でないこと

4.3 特定居住用財産の買い替え特例

正式には「特定のマイホームを買い換えたときの特例」といいます。譲渡所得に対する課税を将来に繰り延べることができる制度です。この「将来」というのは、買い替えたマイホームを再び売却して譲渡所得が生じたときを指します。

たとえば、1軒目を売ったときは4,000万円の譲渡所得が出たとしても、この特例を受ければ、そのときは課税されません。2軒目を売ったときに1,000万円の譲渡所得が出れば、繰り越した4,000万円と合わせた5,000万円に対して課税させるというものです。

しかし、3,000万円の特別控除や所有10年超えの軽減税率の特例とは併用することができません。この制度を利用するとすれば、次の住宅もまた売却することが見えている場合です。

5.住み替えによる家の売却で譲渡損が出た場合の特例

さて、住宅を売却すれば必ずしも利益が出るというわけではありません。売却額から譲渡費用と取得費を引いて損失に転じた場合と、売却額をもってしても住宅ローンの残債がある場合に活用できる制度を見てみましょう。

5.1 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

マイホームを2019年12月31日までに売却して新居を購入した場合に譲渡損失が生じたときは、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得から控除できる制度です。これを損益通算と呼びます。そして、損益通算をしても控除しきれない譲渡損失であれば、3年内は繰り越すことができます。

ただし、買い替える新居の床面積が50㎡以上で、旧宅の敷地面積が500㎡以下であることが条件です。また、新居の住宅ローンが10年以上ではない場合や、合計所得金額が3,000万円を超える場合は適用除外となります。

5.2 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

売却する不動産に住宅ローンの残債があり、売却額が残債を下回る場合は、その損失について給与所得や事業所得から損益通算できる制度です。また、その年の損益通算で控除しきれなければ、3年以内であれば繰越もできます。これは買換えに限らず、新居が賃貸であっても適可能です。ただし、売買契約日の前日に残債が償還期間10年以上であることが前提となります。

6.住み替え時の確定申告について

所得に応じた税金は所得税と住民税があります。その金額を決定するためには、確定申告をしなければなりません。所得にならず損失が出たとしても、確定申告はしておくことをおすすめします。その理由とともに、必要書類などをチェックしましょう。

6.1 控除や特例を利用するためには確定申告が必要

確定申告は所得を申告するものであるため、譲渡所得が0円以下であれば申請の義務はありません。とはいえ、控除や特例を利用したい場合は、譲渡所得がない、または譲渡損失が出ている場合でも申請が必要です。3,000万円の特別控除などは一般的な住み替えの場合は適用条件に該当しやすいでしょう。多少の手間はかけても申告を行うほうが「お得」といえます。

6.2 確定申告に必要な書類

確定申告に必要な書類は複数あるため、一覧で確認しましょう。

分類 必要書類 備考
売却額を証明するもの ・売買契約書の写し
譲渡費用を証明するもの ・仲介手数料や印紙税等の領収書の写し
・固定資産税清算書
取得費を証明するもの ・売買契約書の写し
・増改築等の請負契約書の写し
・仲介手数料等の領収書の写し
売却した不動産を取得(購入)した当時のものです。
不動産の権利を証明するもの ・不動産ごとの全部事項証明書 所有期間等もこれでわかります。
その他添付書類 ・除票住民票
・譲渡所得の内訳書
譲渡所得の内訳書は売却からしばらくして税務署から売主へ送られます。
確定申告用記入書類 ・確定申告書B
・分離課税用確定申告書
・譲渡所得の内訳書
国税庁のホームページからオンラインで作成できます。

住宅ローンの残債があり、特例を受ける場合は、譲渡契約締結日の前日までの「住宅借入金等の残高証明書」の添付が必要です。

【参照リンク:確定申告書等作成コーナー(国税庁)

6.3 確定申告の期限と提出方法

確定申告は、毎年3月15日を期限とし、その前の1カ月間が申告期間となります。概ね2月16日が申告開始日ですが、土日祝日と被った場合は前後することもあるため、毎年の明確な期間は、国税庁のホームページで確認しましょう。

書類を揃えて税務署の窓口に申請すれば構いませんが、自宅からオンラインで申告書の作成・提出をすることもできます。申告期間になると、国税庁のホームページに「確定申告書等作成コーナー」が開設されるため、活用すると便利です。

なお、納税が必要となった場合は申告期間内で納める必要があります。とはいえ、全額が難しい場合は半分を納付し、残りの半分を5月31日まで延納することは可能です。ただし、延納すると、1.7%の利子がかかってしまいます。

【参照リンク:確定申告特集(国税庁)

7. 住み替えで使うことのできる住宅ローン控除とは

新居を購入する際に住宅ローンを組んだ場合、3,000万円の特別控除やその他減税制度を利用していなければ、住宅ローン控除を受けることができます。この制度を活用すると、年末時点のローン残高の1%相当かつ40万円を上限として10年間、所得から控除できます。

しかし、この制度で受けられる控除額の最大は10年間で400万円であるため、3,000万円の特別控除やその他の控・減税制度を活用するほうが得をする可能性が高いです。それらの適用外になってしまった場合にのみ活用するとよいでしょう。

8.住み替えで損をしないためにお得な制度を利用しよう

住み替えをするときに気になる税金は、制度を活用することで大幅に削減できる可能性が見えてきました。制度活用のためには確定申告が必要です。代理手続を税理士に依頼しても構いませんが、それほど難しくはないため、時間がとれるのであれば、自分で行うことをおすすめします。税理士への依頼料もかかりませんし、勉強にもなります。

自分だけでは不安という人は、住宅の売却を依頼する不動産会社に相談を持ちかけてみるのも一つの手。不動産会社は代理手続こそできませんが、必要書類や制度のことに詳しい業者であれば、相談に乗ってくれるでしょう。不動産関係に強い税理士を紹介してくれることもあります。不動産の一括査定サイトなどを活用し、相談しやすい業者を探してみてはいかがでしょうか。